全く新しい望遠鏡 eVscope (Unistellar)
クラウドファンディングKickstarterにて資金調達を行なっているフランスのUnistellar teamからeVscopeと名付けられた新しいタイプの天体望遠鏡が発表されました。
従来のアマチュア向け天体望遠鏡では、肉眼で銀河や星雲を下の写真のように見ることは不可能であり、デジタルカメラ、一眼レフカメラ、CCDカメラなどを用いて長時間露光して天体から発せられる淡い光を十分に集めて撮影することで像を得ていました。
このeVscopeはEnhanced Visionイメージング技術を使用しており、天体望遠鏡で光を増幅して、アイピース(接眼レンズ)を通して直接銀河や星雲、彗星などを観察できるというものです。
その仕組みは次のように説明されています。
光増幅 (Light Amplification) システムを作動させると、センサーが短時間露光を蓄積し、蓄積された像がアイピースに投影されます。
つまり、短時間露光の写真を何枚も重ね合わせて一枚の写真にするというコンポジット撮影 (比較明合成) みたいな原理と予想されます。
すなわち、eVscopeを目標の天体に向けている時間が長ければ長いほど、美しい天体写真のような像が目で観察できるとうことです。
観測条件 (光害、月齢、天気など) と目標天体によっては美しい像を得るのに数秒から数十秒必要と記載されているので、あらかじめ登録されている画像を表示しているだけ、といったがっかりな商品ではなさそうです。ただし光害の影響を受けるので、淡い天体は都市部で見ることは難しいかもしれません。
Autonomous Field Detectionによって、視野内の星の配置を数千万の座標データベースと照合して、今、何を見ているのかを即座に知らせてくれるそうです。これまで、高価な赤道儀や追尾システムを用いて自動導入・追尾を行なっていたものが必要なくなるというのは非常にありがたい点です。
さらにSETI Instituteとの提携により、世界中のeVscopeネットワークに接続して超新星や地球近傍小惑星などのイベントへの参加が可能となります。キャンペーンモードでは、ある特定の天体を様々な時間、場所から膨大な画像データとしてSETI Instituteが収集し、研究などに用いられるようです。
eVscopeの感度は口径1mの天体望遠鏡に匹敵するとUnistellarのCEO Laurent Marfisi氏は述べています。
eVscopeのスペック
倍率 50/100/150倍
口径 4.5インチ
焦点距離 450mm
マウント モーター付き経緯台、feedbackによる天体自動追尾
重量 7 kg (三脚を含む)
センサー NIR技術搭載 Sony製CMOSセンサー Exmor (IMX224)
ディスプレイ 有機ELマイクロディスプレイ
バッテリー持続時間 最大10時間
ワイヤレス接続 スマートフォンによる操作(Appは開発中)、Wi-Fi、Bluetooth
コンパス、3軸加速度計搭載
2018年11月より販売 価格は1999ドル
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